奇門遁甲(きもんとんこう)
奇門遁甲は、中国の占術「式占」の一種である。「六壬式」「太乙式」と合わせて「三式」の一つであり、遁甲式(とんこうしき)とも呼ばれる。
二十四節気や干支から算出される遁甲局数を基にして遁甲盤を作成して占う。このとき奇門遁甲用の式盤を使用することがある。遁甲盤の構成要素の一つである八門を重要視することから八門遁甲(はちもんとんこう)とも呼ばれる。
■遁甲盤の構成要素は以下の4種から構成される。
天干・地干
通常の十干と同じ文字で表記する。乙丙丁の三奇と戊己庚辛壬癸の六儀から構成され、時刻によって六儀の一つが甲尊に変化する。天干と地干の関係に吉凶象意がある。
八門
開門、休門、生門、傷門、杜門、景門、死門、驚門から構成される。それぞれに吉凶象意があって、開門、休門、生門が大吉で景門が中吉であり、杜門、死門、傷門、驚門が凶となる。吉凶で最重要視される。宋の仁宗の勅命によって編纂された『景佑遁甲符応経』では、八門は八風から作られたとしており、黄帝内経霊枢の九宮八風篇との関連を推測させる。
九星
通常の九星とはことなり、天蓬、天芮、天冲、天輔、天禽、天心、天柱、天任、天英から構成される。どれも頭に天が付くので、日本の気学や九星術の九星である紫白九星と区別するために九天星や天蓬九星とも呼ばれる。
八神
天符、騰蛇、太陰、六合、勾陳、朱雀、九地、九天から構成される。勾陳のかわりに玄武、朱雀のかわりに白虎が使用されることがある。騰蛇、太陰、六合、勾陳、朱雀は名称から、六壬神課の十二天将に由来すると推測できる。
この4種の構成要素に、さらに日本の気学や九星術における紫白九星を九宮として付け加える流派も存在する。ただし一般的には水滸伝120回本の第76回のタイトルに『呉加亮四斗五方の旗を布(し)き、宋公明九宮八卦陣を排(つら)ぬ』とあるように、九宮とは八方位の坎宮(北)、艮宮(北東)、震宮(東)、巽宮(南東)、離宮(南)、坤宮(南西)、兌宮(西)、乾宮(北西)と中央の中宮の総称である。